モノづくりには欠かせない検査治具

治具は英語の「JIG(ジグ)」の当て字で、英語「JIG」は工具の位置合わせと案内だけを指しますが、日本での「治具」は締め付けに使用するクランプから、測定用センサやゲージまで関連しているツールすべてを含みます。日本語のほうがより広範囲に使われており、量産時の精度のばらつきを抑えて、作業速度を上げるためには欠かすことのできない存在となっています。モノづくりの現場では、穴あけや溶接、組立や検査などに幅広く使われている治具ですが、その中でも品質管理の砦となるのが「検査治具」です。検査治具は、製造加工物が決められた寸法で作られているかを確認する道具で、大量にある部品を治具に固定するだけで素早く検査することができます。

部品が決められた形状になっているかを、寸法を測定器が付属した治具で測る方法と、部品と同じ形状の検査治具を用意しておき、部品ができたら検査治具と比べて確認する方法の2つがあります。検査治具は作業者や技術、経験に関係なく寸法や形状の合否判定ができ、作業のスピードや検査品質のばらつきを抑えられ、モノづくりの現場に広く普及しています。しかし、比較的高価で部品や製品ごとに用意する必要があり、コストがかかってしまうことや、完成までに1週間から1ヶ月以上もかかってしまうので、納期が遅れるというデメリットもあります。また、治具管理の手間や、測定値データが残らないといった問題点なども発生しています。

これらの問題を解決するために、最近では1台で様々な部品や製品の寸法・形状の測定ができるものや、測定結果を自動保存し、測定値を簡単に管理できる治具が開発されています。